相続のカタチ

投稿日:2024/03/22

いらない土地を手放すには?―相続土地国庫帰属制度

相続登記の費用や手間を考えて、相続登記が放置されていた例もありますが、中には「田舎の山林を相続してしまうと自分の子供達にも迷惑がかかるから、誰からも言い出さずそのままになっている」ということもありませんか?
今回は「正直いらない…勘弁してよご先祖様 泣」と言いたくなるような相続した土地について、これらを手放す方法について考えてみます。

相続土地国庫帰属制度の概要

令和5年4月27日から、相続等によって土地の所有権を取得した人が、法務大臣の承認を受けて、その土地を国に「引き取ってもらう」制度が始まりました。
これまでは、国や地方自治体に寄付したくても明確な基準がなく、寄付先に「いらない」と言われてしまえばそれまででした。
「相続土地国庫帰属法」として立法され、制度として定められたことで、法律の要件を満たせば手放すことが可能です。

参照:法務省HP https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html

 

要件の大枠は下記の通りです。

 

(1)申請できる人

相続または相続人に対する遺贈によって取得した人。
つまり、売買や贈与等で取得した人は対象外です。

(2)引き取ることができない土地 ※建物は不可です

建物が建っている土地や抵当権や賃借権等他人の権利の対象になっている土地などは
国庫帰属制度の対象となりません。
詳しくはこちら(国庫帰属が認められない土地の要件とは?)の記事をご覧ください。

(3)費用

➀審査手数料
法務局への申請時に土地1筆あたり14,000円必要です。
途中の取り下げや不承認となった場合でも、返金はありません。

➁負担金
土地の性質に応じて10年分の土地管理費相当額の負担金が必要です。
参照:法務省HP https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html

宅地、田畑、森林、その他(雑種地、原野等)それぞれ算定式が決まっており、
「面積に関わらず20万円」というケースもあります。

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1位:山林

「祖父が若かりし頃、近くで大規模開発があるという投資話を聞いて田舎の山林を買ったとのことですが、どうやら騙されたようです。」というお話をたまに頂けます。
現地に行っても、どこからどこまでの範囲なのか分からないというケースも多いです。
別荘地域で接道があると、手放せる可能性は出てきます。
固定資産税が発生していなければ、しょうがないという形で承継されていきます。

2位:田畑

都市部に住んでいる子供達の代は、農地利用を全くしえない状況なのに、農地特有の制限がかかっており簡単に譲渡や売買などの処分ができないケースは多いです。
放置することで雑草が生い茂り、隣の農地所有者から「虫や雑草の種が飛んでくるから何とかして欲しい!」という苦情が入るなどよくあるお話です。

3位:狭小地

合筆や分筆などの結果、接道がない宅地(いわゆる袋地)が生まれることがあります。
近隣の土地を通行する権利はある場合でも、 実際には建築制限があるなど利用しづらく、また都市部の場合には固定資産税の負担と利用価値がアンバランスとなっている土地も多いです。

どうしたら手放せるだろうか

 

(1)不動産会社に売却を相談する

上記のうち、狭小地であれば、まずは不動産会社へ相談するのがお勧めです。
ただし、不動産会社も宅地や建物を主に扱うため、山林や田畑に関する相談はうまくいかないことも多いです。

(2)隣地や、他の共有者に無償であげる

手放せれば儲けものという感覚で、贈与について近隣の方々へ打診することもあります。
この場合、土地の対価はかかりませんが、名義変更の際の登録免許税、不動産取得税などの実費分が必要です。
また、確実に手続きを行うため司法書士に登記申請を依頼する場合にはその費用が発生するため、それらも含めて検討するしておくことが必要です。
また、田畑の場合は、そもそも相手が農地を受け取る資格がなく農地法の許可が取得できないことで贈与できない場合もあります。

(3)相続土地国庫帰属制度の活用を検討する

令和5年8月末時点で、約900件の申請があり、同年10月に富山県内の宅地を初めて国が引き取って所有した事例が報告されています。
今後、制度の利用により土地の有効活用へつながるよう期待されています。

誰に相談したら?

これまで述べたように、様々な選択肢がある中で、それぞれの土地の状況に応じて最適な道を選択していくことが求められます。
不動産の相続で頭を悩ませるとき、相談先として不動産会社、地元のつながり、資格業をはじめとした専門家など様々なルートがあります。
なかでも司法書士は、不動産の取引や法務局での手続きにも明るく、道先案内人としてまず最初の相談先としてみてはいかがでしょうか。

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