相続のカタチ

投稿日:2022/12/01

国庫帰属が認められない土地の要件とは?

管理が困難になるような土地は難しい。

「相続土地国庫帰属法」が令和5年4月27日より施行されると、相続などで取得した土地について国に所有権を移すことが可能になります。
しかし、すべての土地について認められるものではありません。

「相続土地国庫帰属法」には、国庫帰属が認められない土地の要件として却下事由と不承認事由の2種類が定められています。
あえて誤解を恐れずに言えば、通常の管理や売却などの処分をするにあたって手間がかかったり過分の費用が必要になる土地は認められないということです。

同法に定められた却下事由と不承認事由は以下のとおりです。


○却下事由(相続土地国庫帰属法2条3項各号)に該当する要件

 ①建物の存する土地
 ②担保権又は使用および収益を目的とする権利が設定されている土地
 ③通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるもの
 ④特定有害物質により汚染されている土地
 ⑤境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

○不承認事由(相続土地国庫帰属法5条1項各号)に該当する要件

 ①崖がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
 ②土地の通常の管理又は処分を阻害する有体物が地上に存する土地
 ③除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地


これから相続の対象となる土地について、これらの事由が存在するかどうか。
また、存在する場合にはその事由をクリアできるものであるかを検討する必要がありそうです。

どのような土地をどのようにして引き継ぐか。
子や孫など「引き継ぐ人」だけが考えるのではなく、今の所有者である「引き継いでもらう人」と一緒に話し合うことも必要なのかもしれません。

●コラム 「却下事由」と「不承認事由」の違いは?

条文に列挙されたものに該当しただけで国庫帰属が認められないものが「却下事由」、
該当していても内容によっては国庫帰属が承認される場合もあるのが「不承認事由」です。

例えば、土地の上に建物が存在していたり、抹消登記の済んでいない抵当権の登記があれば、却下事由の一つに該当することになり、どれだけ有効利用ができる土地であってもそれだけで国庫帰属の承認申請が却下されてしまいます。

しかし、もし土地に崖があれば不承認事由に該当するものの、それがどのような崖なのかを検討したうえで、通常の管理で足りるような場合には、国庫帰属が承認されることもあるという点に違いがあります。

具体的にどのようなものになるかについては、政令で要件が示されたものもあります。
政令の要件にないものや「通常の管理」、「過分の費用」といったものがどのように判断され、どのような運用になるのかが今後のポイントになるでしょう。

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