相続のカタチ

投稿日:2024/03/22

相続登記と相続人申告登記

令和6年4月1日から相続登記が義務になります。
相続登記が義務とされるまでの経緯などはこちら令和3年4月に成立した、相続登記義務化のルールとは?【更新】)をご覧ください。

それでは義務とされた相続登記を行わない、つまり「放置」した場合のデメリットとはなんでしょうか。

 

真っ先に考えられるのは相続関係が複雑化すること

相続登記をせずに放置し、時間が経過することで相続人となった人も亡くなることが考えられます。
このように、さらに相続が発生してしまうことを「数次相続」といいますが、その際には関係する人が多くなります。
兄弟姉妹だけでも連絡をとるのも大変なのに、数次相続がある場合には「いとこ」や「はとこ」などの全員に連絡をとらなければならない。
そう考えるとそれだけでも大変です。

また、相続の手続きではじめて知った関係者の中に、認知症などによって判断能力に不安が生じている方があれば成年後見などの手続きが、行方不明である人があれば不在者財産管理人の選任手続きなどがそれぞれ必要になります。
相続登記の前提である遺産分割協議を行うまでにも裁判所での手続きを要することとなり、時間や費用だけでなくそれに対する労力も必要になってしまいます。

相続関係の複雑化を防ぐためにも、相続が発生した時には不動産の相続登記をはじめとした遺産の相続手続き行う事が重要です。

過料のおそれ

相続登記の義務化にともない相続登記などには申請期限が定められました。
具体的な申請期限は次のとおりです。

 

① 相続(遺言を含む)によって不動産を取得した場合

その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が必要。

② 遺産分割協議の成立によって不動産を取得した場合

遺産分割協議の日から3年以内にその結果に基づく登記の申請が必要。

 

正当な理由がない限り、これらの期限を守ることができなかった場合には、過料の適用対象となり10万円以下の範囲内での過料が科される可能性があります。

ここで注意しなければならないのは、このルールは令和6年4月1日以前に発生した相続も対象となるという事です。
とはいえ、すでに発生している相続登記の遅れを対象にして、突然過料が科されるわけではなく、令和6年4月1日から3年間(具体的には令和9年3月31日まで)の猶予期間が設けられているので、その期間内に相続登記の申請を行えば過料の対象となりません。

相続人申告登記

それでも相続人の間で争いがあるなど期限内に相続登記の申請が難しい場合には、「相続人申告登記」という手続きを選択することを検討しましょう。
相続人申告登記は、その申出をした相続人についてのみ、相続登記の義務を履行したものとみなされる制度です。
相続人の全員が義務を履行したとみなされるには、相続人全員がそれぞれ申出をする必要があります。
なお、複数の相続人が連名で(話し合って)申出書を作成することで、複数人分の申出をまとめてすることもできます。

この「相続人申告登記」は、あくまでも相続が発生し相続登記の申請義務を果たしたことと「みなす」だけのものです。
実際の相続の根本的な解決には至っていないので、ゆくゆくは誰が「相続」したかの相続登記の申請が必要です。
相続人申告登記をしたのちに、協議や審判手続きで遺産の分割がされた際には、その内容に沿った相続登記の申請をする必要があります。
利用の場面は限定的となるのではないでしょうか。

所有不動産証明制度

また、法務局で亡くなった人が所有者として記録されている不動産をリスト化して証明する「所有不動産記録証明制度」も令和8年2月2日から施行されます。

この制度は本人と相続人その他の一般承継人に限って請求ができ、この制度の利用により、相続の対象となる不動産の把握が容易になり、また相続登記の申請漏れを防ぐ効果も期待されます。

ただし、登記された住所氏名をもとに検索を行うとされていることから、旧姓や特に旧住所で登記したままになっている不動産がある可能性も検討する必要があるでしょう。

今から準備すること

皆さんも相続登記の義務化に備えて、ご自身はもちろんのこと、親の相続の時について考え、準備を進めてみてはどうでしょうか。

例えば、遺言書の作成を検討したり、家族間で相続について話し合ったりすることでもいいと思います。

ご自身の自宅の土地・建物や親から引き継いだ不動産の登記事項証明書をあらためて確認したり、市町村役場で名寄帳を取得してもいいかもしれません。
ひょっとしたら、普段利用している不動産であっても、亡くなった方の名義のままで相続登記をしていない不動産が見つかるかもしれません。
相続登記を促進するため、評価額が100万円以下の土地に係る相続登記については、登録免許税を免税する特例が設けられています(期間は令和7年3月31日まで)。

「備えあれば憂いなし。」

相続登記の手続きにおいても当てはまると思います。

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