投稿日:2022/12/01
不動産だけじゃない!会社役員が亡くなった場合の登記(前編)
人が亡くなった場合にしなければならない手続と聞くと、不動産の手続や預貯金・株式の手続等が思い浮かびがちです。
しかし、もし死亡した人が会社の役員であった場合、その人は死亡によって役員を退任することになるため、役員の変更登記を申請しなくてはいけません。
取締役や代表取締役など会社の役員を務めていた人は、会社の登記に役員として登記がされています。
そしてその人が死亡した場合、役員を退任することになります。
そのため、役員の変更登記を申請しなければなりません。
新しく役員を選任する場合や役員が辞任した場合と異なり、選任決議や辞任届の提出等はされないため、うっかり失念しないようお気をつけください。
また、不動産の相続登記と異なり、この会社の役員変更登記の申請期限は、当該役員が亡くなった日から2週間以内に法務局に申請する必要があります。
登記すべき期間内に登記を怠った場合、100万円以下の過料が処されることもありますので注意してください。
下記は、会社の種類別に役員が亡くなった場合の手続方法についてのまとめです。
しかし、役員が亡くなった場合の登記と一口に言っても、会社の種類やその会社の機関設計(取締役会や監査役を置いているか否か等)、定款規定等によって申請すべき登記が大きく異なります。
役員変更登記はさまざまな事情がからむ複雑な手続ですので、ぜひお近くの司法書士にご相談ください。
株式会社・特例有限会社の場合
株式会社、特例有限会社の役員(取締役・監査役等)が亡くなった場合、当該役員は死亡により退任します。
また、退任登記のほかにも、会社の定款の定め方によっては後任者の選任や定款規定を変更するなどのため株主総会を開催し、それらの変更事項について登記申請をすることも必要です。
例えば
① 代表取締役が死亡した場合
死亡のほかに新たに就任する後任代表取締役の就任登記を行う必要があります。
② 死亡により欠員を生じる場合
取締役A、B、Cの3名がいる取締役会設置会社は、Bが亡くなると、取締役はAとCの2名になります。
取締役会設置会社は取締役が3名以上必要であるため欠員が生じます。
死亡によって欠員が生じた場合には、
・取締役が3名以上となるように株主総会で取締役を選任したうえで、
その就任登記をしなければなりません。
・定款変更をして取締役会を廃止し、その廃止の登記を申請するという選択肢もあります。
※一般的な退任登記(辞任・任期満了)では、法定の員数を欠く場合の退任登記を行うことはできません。
しかし、死亡による退任の場合は員数を欠いても登記申請が可能です。
代表取締役であった取締役の死亡の場合には、①にある後任代表取締役の登記も必要です。
もしも登記を怠ったことによる過料を気にする場合は、取り急ぎ死亡による退任登記のみを先に進めるのも手段の一つです。