相続のカタチ

社長さん!遺言書はありますか?(その2)

 

前半の記事に続いて、社長、経営者の遺言で注意する点にはどういった点があるのでしょうか?

 

遺言書を作成するにあたって注意すべき点は。

 

遺言書の記載方法や種類については別の記事をご参照いただくとして、経営者が遺言で検討するべき点は次の通りです。

 

① 原則として、事業に関する財産は漏らさずに書くこと

株式、事業用機械、特許権、不動産など最低限確保しなければならないものは後継者が承継する内容をしっかり書きましょう。

ただし、事業を行うにあたって個人に認められた許可や資格などもありますので後継者に承継させることができないものもあるため、しっかりとリストアップすることが必要です。

 

② 他の相続人の遺留分に配慮する

遺留分の配慮とは、他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で後継者に財産を相続させることです。
財産のほとんどが事業用の財産といった場合には遺留分を侵害しないようにすることは難しくなります。

そうした場合には、被相続人だけではなく後継者ともしっかり話し合って対策を立てる必要があるのではないでしょうか?
たとえば、他の相続人からの遺留分侵害額の請求を想定してある程度の金銭を備えさせたり、資金を工面する方法を検討するなどが考えられます。

また、自社の株式の価値はどのような評価基準で行うかによって大きく異なります。
相続財産に占める割合が大きくなれば遺留分の額にも影響が出るため、顧問税理士などのアドバイスも重要です。

 

③ 付言事項を活用する

法定遺言事項である「財産を誰に譲る」という部分の記載に加え、付言事項を活用してみましょう。

付言事項は遺言としての法的な効力がない部分ですが、相続人に対して家族としての気持ちや経営者として事業に対しての想いを示すことができる部分でもあります。
どうしてそのような内容の遺言にしたのか財産分配の理由なども記して理解を求めるとよいでしょう。

 

④定款、株主名簿を整備する

スムーズな事業承継のためには、株式会社の場合は定款と株主名簿、持分会社の場合は定款と社員(出資者)情報の整備も重要です。
他に誰が出資者として会社にかかわっているか、会社がどういった定款規定のもとに活動を行っているのかなど、後継者へ経営者の地位を譲渡するために準備をしておかなければなりません。

また、株主や出資者の中に音信不通の人はいないか、定款の規定ぶりは適切なのかなどについても検討しておくことが必要です。

 

⑤ 遺言執行者を指定する

事業に関する財産となると様々な種類のものが想定されますし、その手続きもそれぞれに行う必要があります。

遺言執行者は、遺言書の内容を実現するために不動産の名義変更・相続財産の管理や預金・有価証券の解約など、相続に関する手続きを行います。

後継者が引き継いだ事業に専念できるように遺言執行者を指定しておきましょう。
なお、遺言者が遺言執行者を指定するには遺言による必要があります。

そのほか遺言執行者については、こちらの記事もご覧ください。

 

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