相続のカタチ

投稿日:2022/02/17

空き家は「相続」から生まれる?

年々増加する「空き家」。この先も、空き家は増え続けるのでしょうか?
少子高齢化により人口減少の一途をたどる日本において、大きな社会課題となっている「空き家」問題。
その解決に向けて考えてみませんか。

総住宅数の13.6%が空き家に。しかも年々増加中。

総務省が5年ごとに実施する「住宅・土地統計調査」の統計調査結果によると、2018年時点での全国の総住宅数は6240万7千戸で、前回調査が行われた2013年と比べ177万9千戸(2.9%)増加しています。

一方、空き家については、2013年と比べ29万3千戸(3.6%)増加し、848万9千戸となっています。
また、総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)は13.6%と、2013年から0.1ポイント上昇しています。
つまり、空き家は年々増加しているのです。

 

空き家が増加する、大きな要因とは。

空き家は、なぜ増え続けるのでしょうか。
その要因の一つとして、総住宅数が総世帯数を上回っていることが挙げられます。

「総住宅数と総世帯数の推移」をみると、1963年までは総世帯数が総住宅数を上回っていましたが、1968年以降は総住宅数が総世帯数を上回るようになりました。
そして、その差は年々大きくなり、需要と供給のバランスが崩れて供給過剰の状態となっていることがわかります。

また空き家の状況をみると、全体の7割以上が1980年以前に建築された建物であり、全体の5割強が「相続・贈与」によって取得したものとなっています。

これらの調査結果から、「相続」が空き家を生む大きな要因となっていることがうかがえます。
そして、今後も「相続」を契機に、空き家が増えることが予想されます。

 

空き家が、不法投棄や犯罪の場になることも。

「相続」などにより取得した建物が、空き家として放置されるとどうなるのでしょうか。

住む人もなく、適切に管理されない状態が続くと建物は老朽化します。
必要に応じて修繕が行われないと屋根や外壁が崩れ落ちたり、建物が倒壊したりするなどして、周辺住民に危険が及ぶことにもなりかねません。

また、庭木などが手入れされずに放置されると、枝葉が隣家まで伸びたり、草木が生い茂り害虫が発生したりするなど、近隣住民の生活環境に影響を及ぼす場合もありえます。

さらに、適切に管理されないために不法投棄の温床となるだけでなく、空き巣や放火など犯罪の標的になる可能性も高く、地域の安全が脅かされることにもなってしまいます。

このように、空き家は所有者だけの問題ではなく、近隣住民やその地域にさまざまな影響を及ぼしてしまいます。

そこで、平成27年5月に全面施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、自治体は、「特定空家等」※4として自治体が認定した空き家の所有者に対して、空き家の解体や撤去、修繕、立木などの伐採を助言、指導、勧告、命令できるようになりました。

空き家の所有者には、自らの責任によって適切に空き家の管理を行わなければならないことが求められています。

空き家を、今以上増やさないために。

「相続」により実家などを取得したとしても、それぞれの事情により、空き家となる場合もあるでしょう。
そうした場合、空き家として放置するのではなく、所有者として適切に管理をすることはもちろん必要です。

しかし、空き家を今以上増やさないためには、「相続」してからではなく、それ以前から実家などの利活用や処分について考えておくことも必要なのではないでしょうか。



※1,2 平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf)を基に作成 
※3 平成30年住宅・土地統計調査 住宅の構造等に関する基本集計 結果の概要(総務省統計局)(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kouzou_gaiyou.pdf)を基に作成
※4 「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいいます。

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