相続のカタチ

投稿日:2022/12/01

不動産だけじゃない!会社役員が亡くなった場合の登記(後編)

持分会社の場合

持分会社には合名会社、合資会社、合同会社の3種類があります。

これら持分会社の出資者である権利、社員としての権利は、定款(会社の根本規則を定めたもの)の定めがある場合には相続財産の対象となります。
また、定めがない場合の社員はそのまま退社、その社員としての持分は払戻請求できることとなり、持分払戻請求権が相続されることとなります。


⑴ 定款の規定によって社員としての権利を相続する場合

合名会社、合資会社は単なる出資者である「社員」も登記されるので、社員が死亡した場合にはそのまま社員が相続人に変わる旨の社員の変更登記をします。
代表社員として登記されていた方が死亡した場合の代表社員にも変更登記が必要です。

一方、合同会社は単なる「社員」は登記されておらず、業務執行社員、代表社員が登記されるため、その登記された方が死亡した場合に変更登記が必要となります。


⑵ 定款の規定がなく、死亡した社員が退社する場合

合名会社、合資会社では単純に社員(必要な場合は代表社員も)の退社登記を行う形となります。
死亡によって合資会社の有限責任社員、無限責任社員のいずれかの人数がゼロになった場合は「みなし種類変更」を事由とする登記手続きも必要となります。

なお、種類問わず持分会社の社員が欠けた場合はその持分会社が解散し、その旨の登記手続きに移行します。

一方、合同会社の社員が退社し、持分の払戻しが行われ、資本金が減少した場合には資本金の変更の登記が必要となります。
退社したのが業務執行社員、代表社員であった場合にはもちろんその退社による変更登記も必要になります。

最後に

・役員の変更登記には、登記すべき期間がありますのでご注意ください。

・会社の役員(社員)が亡くなった場合の登記手続は、会社の種類や定款規定、機関設計等、
 さまざまな要素によって必要な手続が変わってくるため非常に複雑です。
 ぜひ、登記の専門家「司法書士」にご相談ください。

・持分会社においては、定款に持分承継規定がない場合、社員の死亡によって予期せず解散してしまったり、
 「みなし種類変更」によって違う種類の持分会社となったりする場合があります。
 社員の死亡により不測の事態が生じる前に、定款規定を一度見直していただくことがお勧めです。

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